コンコンコン


不意に扉をノックする音が聞こえた。
とても控えめな音。無理もない。時刻はまだ朝の7時になったばかりだ。
忙しい平日ならともかく今日は休日。多くの人は、まだ夢の世界にいる時間帯だ。
例外として我が家で挙げられるのは、早寝早起きを習慣付けしている春歌くんや、
毎日欠かさず早朝ジョギングを行っている衛くん、家事全般を担当している白雪くんの3人だろう。
しかし他の皆はまだ夢の中。当然、私もその内のひとりなのだが、今日は珍しく目が覚めた。
低血圧で朝が非常に弱い私だが、稀にそんな日もある。
だが、今ノックをした人物は、その様な事を知る由もないだろう。
何故なら今日みたいに早く起きてしまった日は、いつも起きる時間まで部屋でのんびりしているからだ。
四葉くんならその事を知っているが、他の家族は誰も知らない。
とくに話す必要もないし、幾ら家族だからといって、プライベートを細かく話す義務はない。
故に扉の向こうの人物は、私が起きている事を知らない。恐らく礼儀としてノックしたのだろう。

「…………どうぞ、開いているよ」

私は扉の向こうの人物に、部屋へ入ってくるように言った。

「………入るわ」

ゆっくりと扉が開く。
その人物は少しだけ驚きの篭った声でそう言い、部屋の中へと入ってきた。

「起きていたのね、千影。
 珍しい事もあるのね。いつもは四葉ちゃんに起して貰うまで起きない癖に」

「…………いきなり失礼だね、キミは。
 私だって…………早起きする時くらい、たまにはあるよ…………咲耶くん」

突然の来客者あである咲耶くんは、そんな失礼な事を言う。
確かに彼女の言葉通り、毎朝四葉くんが起しに来てくれる事まで、私はそう目が覚めたりしない。
しかしそれは、私の低血圧な体質の所為。私だって、好き好んで朝が弱い訳ではない。
一日のはじまりだというのに頭は完全に覚醒せず、身体だって思うように動かない。
意識だってはっきりとせず半分以上は呆けているので、とんでもなく間抜けな状態になってしまう。
はっきりいって朝は嫌いだ。ただ、一点の事を除いてだが。それが先程咲耶くんが言っていた事だ。

私は低血圧で朝が弱い。
故に、四葉くんは毎朝私の事を起こしに来てくれる。
私はそれが嬉しく、その一時を幸せに感じている。嫌いな朝だが、その事に関してのみ幸せなのだ。

「それって、私の言葉を自分で肯定してない?
 『たまには』って、普段しない事をするって意味でしょ?
 普段しない事をする。それはイコール『珍しい』って事になるわ。
 という事は、私が言った言葉は失礼じゃない、全くの事実て事になるんじゃないかしら、千影」

私の言葉に、咲耶くんは勝ち誇った勝利者の表情で返す。

「確かにそうかもしれないが…………普通、もう少しオブラートに包んで言わないかい…………?」

「そう? 私は何でもストレートに言うけど?」

咲耶くんの言葉はもっともな意見だ。
私は朝が弱いが、稀に今日みたいに早起きする時がある。
それは私自身も珍しいと思っている事。故に咲耶くんの言葉は正しい。
正しいのだが、普通の人はそんな言い難い事をハッキリと口にしない。
もう少しオブラートに包むものではないだろうか?
しかし相手は咲耶くんだ。彼女は性格上、言いたい事はハッキリと口にする。
言葉を飾らず、相手の顔色を伺う事もなく、誰だろうが自分の本音をぶつける。
それは彼女の長所でもあるのだが、同時に短所でもある。

「それで…………こんな朝早く、何の用だい…………?」

やれやれ、と私は溜息を漏らす。
咲耶くんの性格上、これ以上この事に対して口論しても意味がない。
先程の言葉通り、彼女は何でも自分が思った事はストレートに言う。
そんな人物に対して、オブラートに包んだ言葉を期待しても無駄というか意味がないだろう。
故に、私はこの事に対して口論をやめ、咲耶くんに用件を訊ねる。

「…………」

すると、咲耶くんは突然言い澱んだ。
先程まで強気な表情を見せ、言葉をストレートに口にする彼女がだ。
その様子に私は正直戸惑うが、咲耶くんのそんな姿に見覚えがあった。
同時に、彼女が私の部屋を訪れた理由も、そして何故言い澱んだのかもわかってきた。

「………それ、は」

「…………いいよ何も言わなくて…………辛いのだろう?
 私には…………キミが私に何を望んでいるのか…………概ね理解できたから…………」

私は咲耶くんが私の元を訪ねてきた理由がわかる。
同時に、何故彼女がその理由を言い辛そうにしているのかも。
だから私は敢えて彼女の言葉を遮った。口に出す事によって、彼女が辛くならないように。

「…………彼女の元へ行くのだろう?
 30分程待ってくれ…………仕度をするから…………」

私がそう言うと、咲耶くんは小さく頷き部屋を出た。
その表情はやはり辛く悲しげだった。私はその理由がわかる。わかるからこそ何も言わなかった。
ただ、やはり今の咲耶くんの姿を見ているのは心が痛む。特に、皆の前で強がっている彼女の姿は。

「…………咲耶くん。
 いつになったら…………キミの心に巣食う絶望は…………消え去るのだろうか?」

私のそんな呟きが、静まり返った部屋に響いた。










人は、日々の生活の中で幸せを糧に生きている。
それはどんなに小さくても、どんなに些細な事でも、その人には大切なもの。
人が幸せと感じるもの、幸せだと感じる瞬間は、人それぞれであり無限に存在する。
そしてそれは、意外と身近に存在する。私が、四葉くんと過ごす一時を幸せだと感じるように。
当然、咲耶くんにも幸せと感じる存在があるだろう。この世に幸せを感じない人はいないのだから。





ただ――――





それが崩れ去った時、人は深い絶望の底へと堕ちていく。










「…………咲耶くん。辛いのかい…………?」

――――彼女のように。

「………大丈夫」

咲耶くんは今にも消え去りそうな声で言う。
その声は震えていた。顔色も悪い。その言葉は、強がりにしか取れなかった。

家を出てから2時間程。
電車やバスを乗り継いでやって来たのは、小高い丘だった。
街から随分離れたこの場所は、四方を緑の森に囲まれた自然溢れる場所。
木々しかない為か、ビルなどの建造物による圧迫感もなければ、
車や工場といった澱みの原因がない為、空気も澄み切って呼吸も楽だ。
忙しさに囚われた日常に心身共に疲れた時は、この場所に来ると癒されるだろう。
本当にこの場所は落ち着く。ただ、目の前にある1つの『墓地』さえなければ、だが…………。

「………こんにちわ、鞠絵」

小さく、悲しげな声。
それは咲耶くんから発せられたもので、目の前の墓地に向けられたもの。
『鞠絵』それはこの墓地に眠る、私達の家族――妹の名だ。

今から1年程前、鞠絵くんは旅立った。
幼少の頃に患った病が原因で、従来のワクチン療法も最新のマイクロマシン療法も効果がなかった。
それどころか病状は悪化の一途を辿り、街から遠く離れたこの地で長期の及ぶ入院生活を余儀なくされた。
私も何度かお見舞いに行ったが、その時見た彼女には生気が感じられず、両の瞳には絶望が映っていた。
だがそれは無理もないと思う。治療の為ではあるが、現状は殆ど監禁状態に近いものだった。
本人の意思では外は愚か病室を出る事もできず、ずっと病室に篭ったままなのだ。
最早、それは治療と言うより監禁。そう。鞠絵くんは、牢獄に閉じ込められた姫君と同じだったのだ。

そんな状態が何年も続けば、そして治る兆しが見えなければ、絶望するのは無理もないと思う。
しかし、鞠絵くんは優しい少女だ。私達家族に余計な心配をかけないように、普段は笑顔を見せていた。
とても穏やかな、入院する前から見せていた笑顔だったが、私にはそれが作り物だという事がわかっていた。
鞠絵くんは『笑顔』という名の仮面を被っていたのだ。

「…………こんにちわ…………鞠絵くん。
 今日は…………私も一緒に来させてもらったよ…………」

花を沿え、ふたりで手を合わせる。
今まで『人』の死を体験した事のなかった私は、
未だに鞠絵くんがこの世にいないという現実に違和感を感じている。
この丘を下った所にある病院に行けば、まだ彼女が病室にいるのでは?――と思う時がある。
現実逃避なのはわかっている。だけど、私達は皆そう感じてしまう。
大切な家族を失った現が受け入れられずに、自分達にとって都合のいい夢の世界にいるように。

そしてそれが一番強く感じているのは、おそらく咲耶くんだろう。
咲耶くんは、他の誰よりも鞠絵くんの事を大切に想っていた。
私を含め他の皆は交通費や時間の関係で、大体月に二度の頻度でお見舞いに行っていた。
だが、咲耶くんは必ず毎週日曜日、鞠絵くんの元を訪れている。
それも朝から面会時間が終わる夕方まで、ずっと傍にいてあげている。
更に先生に許可を貰って、毎日電話をかけて1時間程話をしているのだ。
少しでも鞠絵くんに寂しい想いをさせないように、笑顔を取り戻せるように。

その甲斐あってか、鞠絵くんは作り物ではない本当の笑顔を取り戻した。
咲耶くんの深い深い愛情が、それを可能にさせたのだ。










しかし――――





鞠絵くんはもういない。
この母なる地にも、この広大な世界にも…………この世のどこにも。
遠い遠い、私達では行く事のできない世界へと旅立ってしまったのだ。
それは、今から約1年程前の事だった。










「………今日はありがとう。付き合って貰って」

「…………いや。構わないさ」

丘の頂上から麓へと続く道をふたり並んで歩く。
『道』と言っても、街中にあるように舗装された訳ではない本当の野道だ。
自然のまま残されたこの場所は、都会の暮らしに慣れきった私には些か不便だが、
鞠絵くんはこの緑に囲まれた丘が好きで、入院したての頃は咲耶くんや皆とよく来ていた。
だが、それもほんの一時の間。病状が悪化してからはそれも思うようにできなくなったのだ。
病院の中庭へ出るのにだって許可が必要な程だ。それは無理もなかった。
ひとつ、またひとつと細やかな楽しみが奪われていき、鞠絵くんは酷く落ち込んだ。
そこで咲耶くんは鞠絵くんとひとつの約束を交わした。
無事に退院したら、家族皆で再びこの丘にピクニックへ行くという約束を。
それは本当に細やかな約束であり、同時に叶う事のなかった約束だった。

「しかし…………どうして私を…………?
 いつもなら…………兄くんと一緒にだったじゃないか…………」

鞠絵くんの死後、咲耶くんは何度もこの地へ足を運んでいる。
まだ、鞠絵くんのお見舞いに行っていた頃と同じ日曜日に。それも毎週だ。
お見舞いならわかるが墓参りだ。そう何度も行くようなものでもないだろう。
しかも交通費だけでも馬鹿にならないのだ。そこで以前、咲耶くんに尋ねた事がある。



何故行くのか、と――――。



その質問の答えは『鞠絵が寂しがるから』だった。

鞠絵くんの墓地をこの地に選んだのは咲耶くんだ。
理由は、鞠絵くんがこの丘が好きだった事と、守れなかった約束を果たす為。
実に咲耶くんらしい理由なのだが、それが逆に彼女を締め付けている気がしてならない。


鞠絵くんの死に一番ショックを受け、絶望したのは咲耶くんだ。
絶望の底に堕ちてしまった咲耶くんの姿を見るのは、実に痛々しいものだった。
瞳には生気が感じられず、何も話さず何も聞かず何も見ず、部屋の隅で涙を流す。
あの時の咲耶くんは、生きていく希望を失い、ただ存在するだけの生ける屍に成り下がっていた。
否。それだけならまだいい。咲耶くんは一度自殺を図った事があるのだ。

咲耶くんにとって、鞠絵くんはまさに生きる希望――幸せだった。
それを失ってしまったのだ。最早、生きていく意味を見出す事ができなかったのだろう。
そんな彼女を支え励ましたのは、私や兄くんといった家族だった。
嘗て咲耶くんが鞠絵くんにしてあげたように、私達家族の愛情や優しさで傷ついた彼女を包んであげた。
その甲斐あってか、咲耶くんは笑顔を取り戻し、何とか立ち直る事ができた――――ように思える。

おそらく、咲耶くんはまだ完全に立ち直れていない。
鞠絵くんの『死』という辛く悲しい現を、受け入れきれていない。
だから咲耶くんはこの場所を埋葬場所び選び、毎週日曜日に訪れているのだ。





咲耶くんは鞠絵くんの“墓参り”に来ているのではない、鞠絵くんの“お見舞い”に来ているのだ。





その事に気づいているのは、おそらく私と兄くんだけ。
だから咲耶くんが鞠絵くんの“お見舞い”に行く時は、必ず兄くんが同行している。
いつ咲耶くんが辛く悲しい現に潰され、再び壊れてしまわないように支える為に。
勿論、いつも兄くんが同行している訳ではなく、私が同行する時だってある。
ただ、咲耶くんの方から同行のお願いをされたのははじめてだ。
鞠絵くんの“お見舞い”に行くようになってから半年程、今まで一度もなかった。
私がその事を訊ねると、咲耶くんは立ち止まり、ゆっくりと言葉を口にした。

「………わからない、わ……自分でも。
 ただ、何故か千影に一緒に来て欲しかっただけ………。その理由はわからないの」

「…………そうかい」

咲耶くんの答えはとても漠然としたものだった。
しかし、私はその答えだけで充分だった。
時に人は自分の意思とは関係なく、誰かに助けを求めてしまうものだ。
更に咲耶くんは精神的にもまだまだ弱っている。自然と心が助けを求めたのではないだろうか?
彼女はまだ、目の前の現と正面から向き合う事ができないのだから。

「………ねぇ、千影」

「…………何だい?」

震えた声だった。
とても弱弱しく、吹き上げる風に流され消え去ってしまいそうな程だった。
だけど私にはしっかりと感じ取れた。咲耶くんの、心から溢れ出す感情を。

「………どうして、鞠絵だけ……あんな残酷な運命が待ってたの?
 鞠絵が何をしたって言うのよ………。誰にも優しくて、あんなにいい娘だったのに………」

咲耶くんの瞳からボロボロと涙が溢れ出してきた。
まるで、今まで抑えていた感情が涙と共に流れ出ているようだった。
ズキリっと、心が痛んだ。今の咲耶くんの姿は、鞠絵くんを失い絶望した時と酷似している。
私は何も言わず、涙する咲耶くんを優しく抱き締めた。彼女の心が悲しみに押しつぶされないように。

「ぐすっ……ちか…げぇ。
 鞠絵は…鞠絵は……ぐすっ………幸せだったのかなぁ……?
 私、ちゃんとあの娘の事……ひっく…ぐすっ……幸せにして、あげれたのかぁ……?」

それは咲耶くんが感じていた、だけど口にする事ができなかった不安だろう。

鞠絵くんは本当に悲しい運命を辿った。十数年という短い命、家族と離れ離れな日常。
普通の人には当たり前な『幸せ』が、鞠絵くんには遠く儚いものだった。
だから咲耶くんは、鞠絵くんにそんな当たり前の『幸せ』を齎そうとしていた。
毎日お見舞いに行き、愛情や温もりで優しく包み込んであげ、絶望を希望へと変えていったのだ。
だけど運命は残酷なもので、鞠絵くんはその尊い命を落としてしまった。
その時、咲耶くんは絶望したと同時に、不安を抱いてしまったのだろう。


果たして、自分は少しでも鞠絵くんを幸せにする事ができたのか、と――――。


そう不安に感じてしまうのは無理もないだろう。
唯でさえ、咲耶くんは鞠絵くんの死によって精神的に弱り切っているのだから。

「…………咲耶くん。
 私は鞠絵くんではない…………だから彼女が何をどのように感じていたのかは…………わからない」

私は弱り切った咲耶くんに、優しく言葉をかけた。
優しく温かく、それはまるで母親が泣いている我が子にしてあげるように。

当然だが、私は鞠絵くんではない。
本人ではない為、彼女が何をどのように感じていたのかはわからないし、今では知る術もない。
所詮、人は自分以外の他人の心を知る事はできない。その人、本人ではないのだから。
だから今から言う言葉は私の予想だ。大筋当たっているかもしれないし、その逆かもしれない。
だけど――――

「だけど……………私は、鞠絵くんは幸せだったと…………そう思うよ…………。
 例えその命は短くても…………キミのような心優しい姉に恵まれたのだからね…………」

私は、鞠絵くんは幸せだったと思う。
確かに彼女の運命は過酷なもの。家族や親しい人とは離れ離れ、自由に外を歩く事もままならない。
治療の為とはいえ仕方ないが、その治療さえも効果がまるで見えず、病状は悪化するばかり。
刻一刻と迫ってくる『死』への恐怖と絶望。そして治療の甲斐なく、その短い人生は静かに幕を閉じた。
彼女ひとりの運命を見れば、それは『不幸』としか見れないだろう。だけど、彼女はひとりでなかった。

鞠絵くんには咲耶くんがいた。
心優しく、温もりと笑顔を与えてくれ、いつも支えてくれた姉が。
自分の事を大切に愛しく想ってくれる人がいる。それだけで、人は幸せになれる。
持論だが、強ち間違っていないだろう。少なくとも、私はそうであるのだ。
だから私は、鞠絵くんは最後の最後で幸せを掴み、そして心穏やかに旅立てたと、そう思う。

「だから安心して…………鞠絵くんの冥福を祈ろうよ…………。
 大切な姉であるキミが…………そう悲しんでいたら…………鞠絵くんも安心できないだろ…………」

「うっく…ぐすっ………ちかげぇ」

咲耶くんは私の胸の中で泣いた。
ボロボロと、大粒の涙をその両の瞳から流し泣き続けた。
だけどその涙は、悲しみや辛さによるものではない、安堵の涙なのだろう。
私はギュッと、彼女の身体を抱き締めている腕の力を強めた。強く強く抱き締めた。そして――――

「そして…………キミが本当に立ち直り…………心に余裕ができたら祈って欲しい…………。
 この世界とは違った可能性の世界…………平行世界というものが存在する…………。
 その世界では…………私やキミを含め…………皆違う可能性の中で生きているんだ…………」

ゆっくりと、私は語った。
それは小説や物語では在り来たりな平行世界の話。
一見フィクションと思える夢物語だが、この世界は広大で限りがない。
今私達がこうしている現だって、その世界の中に存在する矮小なものでしかないのだ。
だからもしかしたら…………否。きっとそんな世界だってあるだろう。そう――――

「その中の世界には…………きっと鞠絵くんが無事だった世界だってあるはずだ…………。
 無事に退院した世界…………最初から病気にならなかった世界…………挙げればキリがない…………。
 だけど、どの世界でも…………キミと幸せな日常を…………送っているはずさ…………。
 勿論、その世界の鞠絵くんは…………キミの愛した鞠絵くんではないが…………。
 辛いかもしれないが…………彼女達の…………永久の幸せを祈って欲しい…………」

この世界の鞠絵くんの代わりに、最愛の姉であるキミが。
私のその言葉に、咲耶くんは小さく頷いてくれた。
たったそれだけの答えだったが、私には咲耶くんの強い意思を感じる事ができた。

















第五夢へ























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