† 空の記し †






――2005.07.25――





……風邪引きました、えぅ〜(ぇ
前々から喉が痛くて堰が出ていたので嫌な予感はしていました。
だけど喉飴舐めてれば大丈夫だろうと思って、CADの講義に出ていました。
そしたら喉の痛みが悪化。堰は止まらない、2時間で喉飴はなくなるで、ずーっとダウンしていました。
家に帰ったら即効で就寝。読もうと思っていた
シスアラは結局読んでいません(ぇ
取り合えず、今日は学校休んで病院へ。今日一日はゆっくり休みます。

あ、そういえば私も『
ヒロイン傾向占い』やってみました。
結果は↓です。どうぞ〜〜。





水影そらさんは
強気 ヒロイン型です!

● 無駄を嫌う、とても洗練された人。
質の良いもの、活用的なものを好むタイプでしょう。
恋愛面は、どちらかと言うと受け身で、相手に全主導権をもたれることを嫌い、
精神的には受け身でも、行動的には相手を引っ張って行く人です。


【ヒロイン的傾向】
常に強気でガードが固いように見えますが、実は1人にされるのが嫌いという面も持っています。
初対面の相手にはとりあえず警戒心を抱き、それをハッキリ現わしますが、
すぐ慣れて、長年の親友のように自然に接せる人です。
貴方を狙う狼達はそこが狙い目とばかりに、その弱点を突いてくるでしょう。

そんなことではまだまだ前戦には立てません、もっと警戒心を長持ちさせましょう。
実は打たれ弱い貴方を友人達は心配しています。


●好相性●
策略家、
悪魔の艶笑





…………まぁ。当たっていると言えば当たってる?(ぇ
ところで、結果がこんな感じになっちゃいましたけど、
悪魔の艶笑な方(ぇ


最後に本日リンクを2件追加しました。
高原涼風様の『
稜線のむこう』様と赤堂様の『かーくんの埋立地』様です。
それで、管理人である御二方に私信です。


>涼風様

リンクを貼らせて頂いてもOKと仰られたので、本日追加しました。
本当はBBSの私信を見たすぐ作業を行おうと思ったのですが、
先に書いた通り体調を崩しているので、私信があってから2日後になりました。

例の百合リミッター解除で、涼風様のSSも読ませて頂きました。
風邪を引いてダウンしている所為で全て目を通していませんが、白雪総受けは面白かったですvv
総受けギャグでは、大抵妄想爆発させている白雪だけに、逆に受けになるのは新鮮な感じでした。


>赤堂様

勿論です。寧ろ貼って頂きありがとうございますvv
そして私も小心者なので、この前のようなきっかけでリンクを貼っちゃいます(笑
何やら私なんかが憧れと仰っていますが、嬉しいと言うか恥ずかしいです(//∇//) テレテレ

だけど、私なんかよりも良質な文を書く方はいっぱいいますよ、例えば
悪魔の艶笑な方とか(ぇ
それに赤堂様のSSを読ませて頂きましたが、『偽者エデン』のような『騙し』が凄くよかったです。
ラストは「え?」って感じで驚いていました。それと、シリアスの中にある小さな笑いのポイントも(笑


それでは御二方、こんな管理人ですが宜しくお願いします。





†     †     †







――2005.07.22――





――ココロが、痛い。
別にどこか怪我をした訳でもないのに、ボクは痛みを感じていた。
ズキズキと、ボクのココロがまるでナイフのようなもので刺されるような痛み。
どうしてそんな痛みを感じているのか、正直ボクはわからない。わからないから苦しかった。
だけど、1つだけわかっている事がある。それはどんな時にその痛みが襲ってくるのか。
痛みは常に襲ってくる訳ではなかった。特定の時だけに襲ってきていたのだ。
だからボクは、どんな時に痛みが襲ってくるのかだけはわかっていた。
わかっていたから、この痛みの原因がわからなかった。

「あ、お帰りなさいですの。衛ちゃん」

ランニングを終えて家に帰ると、キッチンには白雪ちゃんの姿があった。
昼食の準備をしているのか、忙しそうにコンロや調理台を行ったり来たりしている。
ボクは挨拶を返すと、邪魔にならないように冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取った。

「今日もランニングですの?」

「うん。毎日の日課だからね」

白雪ちゃんの質問に答えて、ボクはペットボトルに口をつけた。
よく冷えたスポーツドリンクが、火照った身体を冷やしてくれる。
そのまま首にかけてあったタオルを左手に持って、額や首回りの汗を拭く。

「まぁ。毎日ご苦労様ですの」

「そんな事ないよ。ボクは好きでやっているんだし。
 ボクから言わせてもらえば、毎日皆のご飯を作っている白雪ちゃんの方こそ、ご苦労様だよ」

「そんな。姫は皆に美味しいお料理を食べてもらいたいだけですの♪
 それにお料理は大好きですの。苦労や苦痛なんて、これっぽっちも感じていないですのよ♪」

ニッコリと、白雪ちゃんは微笑む。
その笑顔は同性のボクでも、正直可愛いと思ってしまう。
だけど片手に持っているのが包丁じゃなくて、お玉ならもっと絵になっているんだけど。

「あはっ。それじゃ、同じだね」

「そうですの♪」

2人で思わず笑う。
ほら。こうして普通にしていれば痛みなんて感じない。
いつも通りのボクでいられる。皆のイメージである『衛』でいる事ができる。
だけど、それはあの人がいないから。あの人の前だと、ボクは痛みを感じてしまう。
その時だけ、ボクはボクではなくなってしまう。

「あら。おふたりとも楽しそうですね」

当然、後ろから声が聞こえた。
その瞬間、ボクの身体に――ココロにズキリと痛みが走った。
痛い。ボクはその痛みに耐えながら、ゆっくりと振り返ってその人を見た。

「……春歌ちゃん」

ボクの後ろ、正確にはキッチンの入り口に春歌ちゃんの姿があった。
薙刀の練習でもしていたのか、額にはその名残ともいえる汗が滲んでいる。
春歌ちゃんはその汗をタオルで拭きながら、ボク達の会話に参加してくる。
いつも通りの休日。春歌ちゃんもボクと同じように――ただし薙刀で――汗を流している。
マラソンやランニングにしろ薙刀にしろ、毎日の練習の積み重ねで上達していくもの。
それは誰だってわかっている事。だからボクや春歌ちゃんは、毎日欠かさず練習を怠らない。
そしてそうやって身体を動かせば、熱を帯びた身体を冷やす為に汗をかくのは当たり前。
汗はベトついて気持ち悪いイメージがあるけど、冷却材の役割を果たしているのだ。
そう理解しているのに、何故かただ汗を拭いているだけの春歌ちゃんが綺麗に見えてしまう。


――ズキッ


ココロが――痛い。
まるで何かに締め付けられたような痛みが走った。
ボクのココロは、何かに締め付けられている。それはボクにも判らない何か。

「それにしても、今日も一段と暑いですの」

「えぇ。本当ですね」

幸いにも、2人には気づかれなかった。
今の痛みはそれ程強くないから、顔に出なかったおかげだと思う。
できれば、ボクがこんな風に苦しんでいる事を誰にも知られて欲しくない。
知ればきっと、皆心配する。ボクはそれが嫌だ。皆に、あまり迷惑をかけたくない。
だから、ボクはどんなに痛くても、皆の前では皆のイメージである『衛』でいなければならない。
ボクは深呼吸をして、再び会話に参加しようとした。その時だった。

「先程も、雛子ちゃんと公園へ行ってきたのですが、
 あまりの暑さに元気がなかったので、ワタクシの行きつけのお店にご案内たんです」

春歌ちゃんの口から、その言葉が出たのは。
その瞬間、ボクは頭が真っ白になった。何も感じない、何も聞こえない。
ココロを締め付けるような痛みも感じなければ、この夏の暑さも感じない。
煩い程鳴き続けている蝉の鳴き声も、春歌ちゃんと白雪ちゃんの話し声も聞こえない。
まるでその場に、自分の身体がないような錯覚に襲われた。そして――

「春歌ちゃ〜〜ん!
 早くシャワー浴びよ! ヒナ、もう暑くて倒れちゃうよぉ〜〜」

「あ、はい。もう少し待って下さいね」


――ズキッ


「……痛っ」

また痛みが走った。今度はココロだけじゃなくて頭にもだ。
まるで硬いもので殴られたような痛み。それも何度も何度も、断続的に痛んだ。
足元がふらつき何とか踏み止まったけど、思わずまだ痛む頭を利き腕である右手で抑えた。
咄嗟に利き腕を使ってしまった所為で、手に持っていたペットボトルが床に落ちた。
フローリングの床に、スポーツドリンクの水溜りが広がっていく。

「きゃ!? 大変ですの!?」

「衛ちゃん!?」

ボクの異変に気づいた2人が、悲鳴に近い驚きの声を上げた。

「……大丈夫。ちょっと頭が痛いだけだから」

ボクは心配そうな表情の2人に『大丈夫』と、そう言った。
だけどそれは、口にした自分でも説得力がない言葉だとわかっていた。
実際、痛みはまだ残っている。それは小さな痛みだけど、無視はできそうにない。
部屋に戻って――正確にはあの人から離れて時間を置けば、ココロの痛みと一緒に治まるはず。

「本当ですか? 辛いのなら、お部屋で休まれていた方が」

そっと、春歌ちゃんは手を差し伸べた。
細く白い両手で、痛みの所為で足元がふらついている身体を支えてくれた。
それは、ココロの痛みと頭痛に苦しんでいるボクの事を気遣ってくれる優しさ。
春歌ちゃんはそれが当たり前の事と思っているのだろうけど、ボクはその優しさが嬉しかった。
だけどその反面、その優しさが何よりも辛い。ズキリと、少し弱まっていた痛みが、また襲ってきた。

「……うん。そうさせて貰うね。
 ごめんね白雪ちゃん、春歌ちゃん。心配かけて」

だからボクは逃げるように部屋へと戻った。
それは痛みから逃れる為、この痛みの原因である人から離れる為。
そう、ボクがココロに痛みを感じるのは、春歌ちゃんと一緒にいる時なのだ。
そしてこの時、ボクは春歌ちゃんと一緒に過ごしていた雛子ちゃんに嫉妬していた。



どうしてココロが痛いんだろう。
どうして春歌ちゃんの傍にいると、春歌ちゃんと接すると痛むのだろう。
ボクはそれがわからない。わからないから、その痛みの治め方がわからない。
だから唯一治める方法として、痛みの原因である春歌ちゃんから離れる事しかできない。
離れて、痛みが治まるまで待つしかない。だけどそれは、春歌ちゃんの傍にいられないという事。
ボクはそれが寂しくて、そして悲しい。

ボクにとって春歌ちゃんは、姉であり友達のような存在。
姉といっても、年齢的にはほんの数ヶ月の差しかない同い年。
だけど同い年のボク何かと比べると、文武両道の才色兼備。ボクの憧れのお姉さん。
その反面、ランニングと薙刀の違いはあるけど、同じようにスポーツで頑張っている仲間。
だから、年上のさくねぇやちかねぇよりも、気軽に悩み事を打ち明けて相談ができたし、
普段は遠慮したり恥ずかしかったりしてできない、弱音を吐いたり甘えたりする事もできた。
他の11人の姉妹の中で、一番仲がよくて、一番甘える事のできる存在。それが春歌ちゃん。
だからボクは春歌ちゃんが大好き。春歌ちゃんの前でなら、弱い自分を見せる事ができる。
そして甘えられる。もっともっと甘えたかった。そのはずだったのに――

「……痛い」

今のボクは、春歌ちゃんの傍にいるだけでココロが痛くて苦しい。
痛みを治める為には、こうして部屋に引き篭もって春歌ちゃんから離れるしかない。
少し前までは平気だったのに、春歌ちゃんの手が触れただけで身体が熱くなり、ココロが痛む。
更にはちょっとした事で、春歌ちゃんの事を――カラダを意識してしまう自分がいる。
ボクが求めていた『甘えられる優しいお姉ちゃん』とは違う、『何か』を求めようとしている。
そしてその『何か』が渦巻いている所為で、ボクのココロの奥底から黒い感情――嫉妬が溢れ出ている。

ボクは、自分でも気づかない内に醜い人間になってしまった。
ただ春歌ちゃんと遊んでいただけなのに、ボクは雛子ちゃんに嫉妬してしまった。
姉妹の中で一番幼い雛子ちゃんにだ。大人気ない上に、それは姉として失格としか思えない。
だけど頭ではそう自分を情けなく思っても、ボクのココロの中にはまだ嫉妬の念が渦巻いている。



春歌ちゃんを盗られたくない。
ボク以外の誰かと楽しそうにしている姿を見たくない。
太陽のように眩しい笑顔も、温かい優しさも、ボクだけのものにしたい。
ズットボクダケヲ見テ、ボクダケノ優シイオ姉チャンデイテ、モットボクノ事ヲ愛シテ………―――



ボクではない、もうひとりのボク――ボクの『闇』が、ココロの奥底でそう囁いている。

「ぐすっ……痛いよ――春歌ちゃん」





最初はただの気晴らし気分転換で請け負った
せつな様のリクエストだったのが、
いつの間にか、せつな様・
なりゅー様・そらによる合作『まも→はる』祭りになっちゃいました(笑
内容的には、私が書いたSSを基にせつな様が漫画を描き、なりゅー様がそのオチを書くというもの。
いや。何気ない遣り取りからこんな企画が発足するとは。当事者というか大元ですが驚きです(笑

だけど、出だしの癖に執筆スピードが遅い上に、
リクの内容がイマイチ消化できなかった気がします…………illi_| ̄|○illi<ゴメンナサイ、せつな様。
こんなできになってしまい、ラストのオチが難しいと思いますが、仕上げは任せました、なりゅー様。



後、できは兎も角SSが前より書けるようになりました。
まだまだ全盛期に比べると全然執筆スピードは遅いですが、それでも百合妄想が活発です(ぇ
更に簡単に言えば、最近衰えていた百合作品――特にシス百合への欲求が戻ってきました。
実は今まで、衰えていたシス百合への欲求を枯渇させない為、殆ど読まないようにしていました。
ですがシス百合への欲求が戻ってきたので、そろそろ百合解禁しようと思います。
というか、これでようやくシスアラをはじめ、他のサイト様のシス百合作品が読めます(笑



では、最後に私信。



赤堂様

はじめまして。水影そらです。
まさか、今までお話すらした事もないのにご感想を頂けるなんて嬉しいですvv
今まで上記の理由で殆どのシス百合サイト様は回っていませんでしたが、
本日を持ちまして百合解禁したので、ちょくちょく遊びに行かせて頂きます。
それで、こんな執筆が遅いダメ管理人ですが、リンクを張らせて頂いても宜しいでしょうか?
もし宜しければ、ご連絡お願いします。





†     †     †







――2005.07.17――





「う〜。暑いわね」

夏の日差しが照りつける日曜の午後。
熱を帯びたアスファルトにできた僅かな日陰を求め、私は小走りで帰路に着く。
普通に歩くだけでも暑いのだから、小走りだと余計に暑く汗をかいてしまう。
だけどそれは仕方ない。私は早く家に帰りたかった。
それは暑さから逃れる為でもあるけど、もっとも大切な別な理由の為。
急がないといけないのだ。時間が経てば経つ程、台無しになってしまう。
私は額の汗を拭くと、同じく汗をかいているソレに視線を移す。

「……アイス、大丈夫よね?」

視線の先には、汗――ではなく水滴がついている白い箱がある。
その箱の中身は、最近の私の行きつけであるお店のお持ち帰り用アイスが入ってあるのだ。
今日はいつも以上に暑いから、皆に涼んでもらおうと思って買ったものだ。
一応、ドライアイスも一緒に入っているけどこの暑さだ。いつ溶けてしまうかわからない。
それに、家には私の帰りを待っている子がいる。午後からはその子と過ごすと約束しているのだ。
だけど午前中に済ませるはずだった用事が思いの他長引き、時刻はもう1時半を過ぎている。
だからアイスが溶けてしまう前に、そしてこれ以上遅くならないように、急いで家に帰りたかったのだ。

「もう一息。お願いだから、溶けないでよ」

そんなお願いをしても無駄なのに、口に出してしまう。
だけど家までホント後少し。私はアイスの箱を大事そうにかかえて、アスファルトの上を駆けた。



「ただいま」

家に着くと、私は汗を拭くより先にアイスを冷蔵庫に入れた。
幸いにも、アイスはあまり溶けていなかった。これで汗だくになった苦労も報われる。
後はその代償に汗だくになった身体を労う為、冷たいシャワーを浴びるだけ。
でもその前に、皆にアイスを買ってきた事を伝えた方がいいだろう。
今日は日曜日で学校はお休みだけど、殆どの子は部活とかで午前中は家を空けた。
もうお昼を随分過ぎているから皆帰っていると思うけど、今までこの暑い中外にいたのだ。
アイスといった冷たくて甘いものがあると知れば、皆喜んでくれるはず。
私はそう思い、リビングの方へと向かった。

「…………やぁ。お帰り…………咲耶くん…………」

「千影?」

リビングは冷房が効いているのかひんやりとしていた。
外の暑さに比べれば過ごしやすいかもしれないけど、少し肌寒かった。
そんなリビングには千影がひとりだけ。ソファに腰かけ、読書をしていた。

「ただいま。それより、貴女ひとりだけ?」

『皆は?』
そう尋ねかけ、私はある事に気づいた。
それは千影の膝の上。千影の膝を枕に眠っている人物。

「亞里亞ちゃん?」

「ん…………? あぁ…………。
 ほんの少し前まで…………絵本を読み聞かせてあげていたんだけどね…………。
 どうやら…………途中で眠くなったらしいよ…………」

それで気づいた時にはもう眠っていたそうだ。
千影は亞里亞ちゃんの長く柔らかそうな髪を撫でながらそう言った。
後、他の皆はまだ帰っていなかったり、昼食の後にまた出かけたらしい。

「そっか。せっかく亞里亞ちゃんの為にアイス買ってきたんだけど」

眠っているのなら仕方ない。
無理に起こす必要はないし、アイスは人数分買ってきているから早い者順という訳でもない。
亞里亞ちゃんが自然に目が覚めてから、ゆっくりと食べてもらえばそれでいい。
それにその頃には、溶けかけたアイスもちょうどいいくらいに冷えているはず。
同じ食べてもらうのなら、やはり美味しい状態で食べて欲しい。
そう思い、私はシャワーを浴びる為リビングを出ようとした。その時だった。

「……ぅん。姉や……?」

亞里亞ちゃんが目を覚ましたのは。
私と千影との会話で起きてしまったのか、亞里亞ちゃんはまだ眠そうに目蓋を手で擦っている。
だけどその眠たそうな瞳が私の姿を移すと、亞里亞ちゃんはパッと笑顔を見せた。
そしてソファから下りると、トコトコと私の元へ駆け寄ってきた。

「おかえりさない、姉や♪」

ギュッと、亞里亞ちゃんは私に抱きついてきた。
細く小さな、柔らかい身体。私はその身体を、まるで壊れ物を扱うように優しく抱きしめた。

「ただいま、亞里亞ちゃん。
 ごめんなさいね、約束したのに遅くなって」

私が約束をしていたのは亞里亞ちゃん。
たくさんいる姉の中で唯一私の事を『姉や』と呼んで、一番懐いている子。
私は12人の姉妹の長女。皆の姉だから、妹達を平等に愛し可愛がっている
だけど心のどこかで、亞里亞ちゃんだけ他の皆とは違う特別視している自分がいる。
皆は可愛い妹。それに嘘偽りはない。だけど私の中で一番なのは亞里亞ちゃんだった。
だから休日はよく一緒に過ごすし、夜は同じベッドでお話を聞かせてあげて寝たりしている。
今日だって午前中は用事があったけど、午後からは一緒に遊ぶ約束をしていたのだ。
それなのに、私は遅刻してしまった。私と遊ぶ事を亞里亞ちゃんは楽しみにしていたのに。

「うぅん……いいの、姉や。
 姉や、いつも亞里亞とのお約束守ってくれるもん。
 だから今日も、ちゃんと亞里亞とのお約束……守ってくれますか?」

約束の時間に遅れた事を謝ると、亞里亞ちゃんはそう言った。
全く咎めるような素振りを感じさせない、いつもと変わらずのんびりと穏やかな口調だった。
亞里亞ちゃんは私の事を信じている。必ず、自分との約束を守ってくれると。
私はその事が嬉しかった。約束の時間に遅れても、まだ私の事を信じてくれる亞里亞ちゃんが。
だから私は、私の事を信じてくれている亞里亞ちゃんの気持ちに答えねばならない。

「勿論よ、亞里亞ちゃん。私はちゃんと約束を守るわ。
 ただ、ちょっと身体中が汗でベトベトだから、先にシャワーを浴びてからになるけど」

汗は冷房のおかげで引いたけど、まだ身体がベトベトする。
着ている服だって汗を吸っているから、このままでいるのは気持ち悪い。
何より、汗をかいたままの姿で亞里亞ちゃんの傍にいたくなかった。
だからもう少し亞里亞ちゃんを待たせる事になるけど、それは仕方ない。
そう思い、私がもう少し待っているように言うと、亞里亞ちゃんは意外な答えを返してきた。

「姉や、お風呂入るの?
 だったら亞里亞も、姉やと一緒にお風呂入りたいです♪」

ニッコリと笑って、亞里亞ちゃんは言った。
その亞里亞ちゃんのお願いに、私は断る理由は何もない。
だから私は『いいわよ』と言って、亞里亞ちゃんの手を引いて着替えを取りにリビングを出た。

「…………やれやれ。
 2人共…………どうやら私の存在を忘れているようだね…………」

そんな夏の午後。





気晴らし気分転換に、今まで書いた事のないカップリングを書いてみる。
第一弾は、あまりの暑さにダウンしながら書いた“ちかあり”のような“さくあり”でした。
次は
某お方のリクエストによる、衛→春歌の片思いSSを書く予定。





†     †     †







――2005.07.09――





「はぁ……今日も雨だね」

窓の外を眺めて溜息1つ。
薄暗い灰色の空からは、梅雨らしく雨が降り注いでいる。
梅雨だから仕方ない。そう割り切っていても、雨が降っていると何だか気が滅入る。
別に、アタシは咲耶ちゃんや衛ちゃん達みたいに外出するから気が滅入っている訳ではない。
ただ、梅雨独特のジメジメした湿気とかが苦手。何だかやる気とかが削がれて、だらけてしまう。
しかも自分の誕生日だから尚更。だから今も自分の部屋で、ベッドの上にゴロゴロしていたりする。

「そうですね。今日で何日連続でしょうか?」

「ん? 確か4日かな?
 よく覚えていないけど、七夕の日は雨だったよ」

頭を少し上に上げて答える。
視線の先には、アタシとは違ってベッドに腰掛けている鞠絵ちゃんの姿がある。
ただ、いつもより少し元気がない。アタシ程じゃないけど、梅雨のジメジメに憂鬱な様子。
しかもジメジメに加えて蒸し暑さもあるから、こんな状況だと誰だって憂鬱な気分になる。
でも、どうやら鞠絵ちゃんは、アタシの誕生日の日がそんな天候だから気が滅入って元気がないらしい。

「……そう、でしたね。
 折角の七夕だったのに………折角年に一度だけ逢える日だったに、神様は残酷ですね」

それは七夕の織姫と彦星の事を言っている。
離れ離れになった2つの星は、年に一度だけ七夕の日に逢う事ができる。
たくさんの特別な思い出を作って、普段とは違う特別な日になる。
そんな2つの星の話が、少し前まで入院して離れて暮らしていた鞠絵ちゃんとアタシに重なる。
その所為か、鞠絵ちゃんは雨が降った七夕の日はいつも悲しげだった。
だからアタシは、天井を――更にその先に広がる空を見つめて言った。

「そうだね。でも、鞠絵ちゃん。
 アタシ達からだと見えないだけで、2人はちゃんと出会えているよ。厚い雲の更に上の、広い大空で」

雨の日は織姫と彦星は出会えない。
そう云うけど、実際に雨が降っているのはこの星の中だけ。
一度宇宙へ飛び出せば、そこには雨なんて降っていない。あるのは数多に広がる星の海だけ。
そしてその中で、2つの星はキチンと出会えている。もっとも、そう言うとロマンはないけど。
でも、鞠絵ちゃんは嬉しそうに『そうですね』と言って、笑顔を見せてくれたからよしとする。

「はぁ……でも、雨より暑いのがホント嫌だね」

「えぇ。もう少し涼しければ過ごしやすいのですけど」

梅雨は湿気が多い所為か、不快指数が高い。
ジメジメして、どんよりとした空気が余計に不快な気持ちにさせる。
だから、少しでも快適に過ごしたいから、今日は久しぶりにミニなんて穿いている。
まぁ。その所為で、こんな風に寝転んでいたら下着が見えちゃって、鞠絵ちゃんに注意されるんだけど。

「あ。もう鈴凛ちゃん。また下着が見えていますよ?」

ホラね。確かこれで3回目かな?
アタシは別に気にしないけど、鞠絵ちゃんの顔は少し赤い。

「アタシは別に気にしないよ?
 見られても鞠絵ちゃんだし。それに、こんな風に寝転んでると気持ちいいから」

言って、大の字になる。
もう下着なんて鞠絵ちゃんに丸見え。でも、アタシは気にしない。
勿論、この部屋に男の人がいたり、知り合いや他の姉妹の皆がいたらこんな恥ずかしい事はしない。
相手が鞠絵ちゃんだから別に恥ずかしくもなんともない。だってアタシ達は恋人だから。

「もう、鈴凛ちゃん!」

でも、鞠絵ちゃんは恥ずかしいらしい。
顔を真っ赤にして、アタシに布団をかけた。おかげで少し暑い。
アタシは鞠絵ちゃんに謝って、『次からは気をつけるから』と言って布団を剥がす。
でも、それだけでは終わらない。アタシは起き上がると、鞠絵ちゃんに抱きついた。
いきなりの事で驚いた鞠絵ちゃんは小さな悲鳴をあげるけど、アタシは気にしない。
そのままベッドの上に押し倒すと、アタシは少し折り重なるように横になった。
顔を横に向けると、今の状況を理解して顔を真っ赤にした鞠絵ちゃんの顔があった。

「り、鈴凛ちゃん!? な、何をするんですか!?」

「ゴメン、ちょっと調子に乗り過ぎだね。
 でも、こんな風に寝転ぶのも何だか気持ちいいでしょ?」

「そ、それはそうですけど。
 何もあんな……押し倒すようにしなくても……」

恥ずかしいのか、最後のところは小さな声だった。
確かに今のはちょっと――訂正、かなり調子に乗り過ぎたと思う。
でも、こうでもしないと、鞠絵ちゃんは恥ずかしがり屋だから絶対にしてくれないはず。
ある意味強行手段と言えるけど、大人しい鞠絵ちゃんにはそうやって引っ張って上げた方がいいのだ。

「それに、今日は鈴凛ちゃんのお誕生日ですよ?
 外は生憎のお天気ですけど、ただ部屋でこんな風に過ごすのは……」

鞠絵ちゃんの言い分はわかる。
年に一度だけの誕生日。普段とは違う特別な思い出を作って、特別な日にしたい。
その気持ちはわかる。鞠絵ちゃんがまだ入院していた時は、アタシもそう思っていた。
普段は気軽に逢いに行けない。だから逢える日は特別な思い出を作りたい、そんな風に。
でも、今のアタシは違う。鞠絵ちゃんが無事に退院したから、違った考え方ができるようになった。

「そう? アタシは鞠絵ちゃんとこうしているだけでいいよ。
 だって夢見てきた『鞠絵ちゃんと一緒に普通の生活を送りたい』ってお願いが叶っているんだもん。
 アタシにとって、こうして一緒に同じ空間で過ごせているだけで幸せなんだ」

今までアタシと鞠絵ちゃんは、姉妹なのに離れて暮らしていた。
それは治療の為といえ仕方のない事だけど、やっぱり一緒に普通の生活を送りたかった。
だからそれが叶った今、アタシにとって鞠絵ちゃんと過ごす瞬間は何よりも特別な時間。
別に意識して何か特別な事をする必要はないのだ。

「だから、暫くこのままがいいな。
 こうして鞠絵ちゃんの温もりを感じたまま、一緒の時間を過ごしたい。……ダメかな?」

少しだけ我侭なお願いをした。
だけどそれはアタシのココロの中にある、アタシの本音。
今のアタシはどんな高価なものをプレゼントされるより、鞠絵ちゃんの温もりを感じている方がいい。
温かくて優しくて、何だか落ち着くアタシの大好きな鞠絵ちゃんの温もりを。
アタシのそんなお願いに、鞠絵ちゃんは小さく『はい』と答えて、アタシの身体を抱きしめてくれた。





ちなみに、プロトでは鞠絵もミニでダブルチr(削除
更に押し倒した後は、もう少しえっちくなる予定だったり(ぇ


illi_| ̄|○illi<ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ×100















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